代表質問 ひやま真一議員 平成19年11月30日
自民党のひやま真一でございます。
私は、自由民主党新宿区議会議員団を代表して、区長並びに教育委員会に質問いたしま
す。何とぞ、誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。
早速、質問に入らせていただきます。
先ず最初に震災時の避難所についてお聞きいたします。
地震が発生したときには、家屋の倒壊や火災発生により避難を余儀なくされることが想
定されます。そこで避難所についてお聞きいたします。
「新宿区地域防災計画」によりますと、避難所については、第1次避難所と第2次避難
所があり、第1次避難所としては区立小中学校、都立高校、協定等を結んだ私立学校を指
定し、第2次避難所としては、児童館、ことぶき館、障害者福祉センター等を指定してい
ます。そして、第1次避難所については地区割をすることとして、その地区割については、
町会・自治会等の防災区民組織の意見を踏まえて地区割りを行うとしています。また、そ
の避難所の運営については、町会・自治会等の防災区民組織、学校、PTA、区職員から
なる「避難所運営協議会」を各避難所ごとに組織するとしています。そしてその避難所の
運営は、避難所運営協議会が原則として自主的運営をすることとしており、その運営が迅
速・円滑にできるように「避難所運営管理マニュアル」も策定するとしています。
このように、避難所とその地区割は区が指定しますが、その運営は、災害発生直後に区
職員が避難所業務に従事することが出来ない恐れがあることから、地区住民の自主的な運
営が原則化されています。それだけに避難所の指定は地区住民のより納得のいく指定が求
められると思います。第1次避難所として現在指定されているのは、区立小中学校41校、
都立高校5校、私立学校6校の全部で52箇所であります。そしてこの避難所の地区割で、
一つの町会が別々の避難所に別れるという状況も生じています。これは止むを得ないこと
とは思いますが、その町会、地区にとっては必ずしも望ましいものではないと思います。
それだけにこの避難所の地区割は大変難しいこととだと思いますが、地区割りについては
地区住民の理解をできるだけ得ておくことが大事だとも思います。もちろんこの配慮は十
分行われていることとは思いますが、地区の皆さんの中には何となく違和感を感じている
方もあるやに伺っております。
また、複数の町会が一つの避難所に同居するのが殆どであります。したがって、先に触
れました「避難所運営協議会」が組織されているのだと思いますが、この協議会の日頃か
らの意思疎通とまとまりもまた必要なことだと思います。そのために区当局では、年1回
以上の協議会開催を目標として努力されているようですが、19年度の「行政評価実施結果
報告書」によりますと、現在45の協議会があるようですが、18年度の実績はその中の26協
議会が年1回の協議会を開いたとなっています。これでも年々実施する協議会が増えてき
ているとのことで、その努力は評価できますが、さらなる督励も必要かなとも思います。
また、避難所には、災害用の資機材や食糧等の備蓄も必要であります。それらは各避難
所に備蓄してあるようですが、災害時の水の確保は避難所のみならず一般家庭においても
大変重要なことだと思います。これについてもそれなりの対応はなされていることと思い
ますが、水道管の破裂等で断水しますと大変なことになります。それには、供給源が近く
にあることが救いであります。当新宿には落合に下水処理場がありますが、現在わが国の
水の浄化技術は進んでいるようですし、近年その技術はさらに進化しており、東京都では
これからその進んだ浄化技術を取り入れていくとの考えが示されております。このような
状況からすると落合処理場の近隣地域の方々にとって、この落合処理場の浄化水利用が考
えられるのではないかと思われます。
そこで避難所に関して区長にお伺いいたします。
先ず1点目は、避難所の指定についてですが、地区住民の意向はどの程度受け入れられ
ているとお考えでしょうか。また、今後もより地区住民の意向に添えるよう改善されるお
考えがあるのかどうかお伺いいたします。
2点目は、落合処理場の浄化水利用についてのお考えはどうでしょうか。もし、前向き
にお考えならば東京都にその旨申し入れることはできないでしょうかお伺いいたします。
次に、多重債務者の把握についてお伺いいたします。
最近、多重債務者問題に対して地方自治体の対応が期待される傾向にあるように思われ
ます。多重債務者は全国で2百万人を超えるともいわれておりますが、改正貸金法により
ますと2年後には総収入の3分の1を超えて貸すことは出来なくなります。そうなります
と、多重債務者問題は益々厳しい問題となってまいります。それまでに出来るだけの対応
が望ましいことと思われます。しかし、この多重債務者問題は個人の問題であり、行政が
関与するには難しい面もあると思います。それでも行政の対応で多重債務者救済の緒を見
出せないものかと思います。それには、先ずは具体的な救済策をたてるのではなく、多重
債務者の把握がその第一段階ではないかと思います。
その対応は、区民税、国民健康保険料、区営住宅使用料、保育料、給食費等の滞納者の
中にそのような人はいないのか、また、生活保護の請求者の中にはいないのか、さらに、
消費者センターでは多重債務相談も受けておりますが、その相談者はいないのか、といっ
たところから始めることではないかと思います。これとて、私生活に関わることであり、
その対応には細心な注意と配慮が必要だと思います。したがって、担当部署の個々の対応
ではなく、全庁的な統一した取組が望まれるところだと思います。しかもこれは文書等に
よる事務的な処理だけではなく、その対象者個々への何らかの接触が必要なことだと思い
ます。このような対象者との接触から、何らかの具体的な救済方法が見出せるのではない
かと思います。
したがって、このような対応に当たる部署は大変な苦労を伴うことだとは思いますが、
この取組が滞納の整理になり、また、生活保護受給の抑制など、区行政へのプラスの効果
となります。しかもそれ以上に意義あることは多重債務者の悩みの解消に役立ち、その生
活の支えになることだと思います。
この多重債務者問題については、新聞等での報道によりますと、すでに他の自治体での
取組がなされているとのことでありますし、23区でもいくつかの区で取組がなされている
ようであります。そのような他区の状況も参考に出来るのではないかとも思います。
そこで、区長にお聞きいたします。
この多重債務者問題について、区長はどのようにお考えでしょうか。もし、何らかの取
組をお考えでしたら、その対応をお示し下さい。
次に、産業振興施策についてお伺いいたします。
本年7月に「新宿区産業実態調査報告書」が発表されました。この調査は昨年12月に、
新宿区には事業所が少ない農業・林業・漁業等を除いた、建設業からサービス業までの11
業種、3万 2,790事業所について郵送配付・回収方式で実施した調査ですが、その有効回
答数は 4,096事業所、回収率12.5%の調査結果を 534ページにまとめた規模の大きい報告
書であります。その調査結果からは、今後の区の商工施策に対する多くの示唆が読み取れ
ます。
11の業種は、建設業、製造業、染色業、印刷業、情報コンテンツ産業、運輸業、卸売業、
小売業、不動産業、飲食店、サービス業の11業種ですが、そのアンケートに対する回答内
容のいくつかを見てみますと。
まず、事業所規模は、大半の業種が従事者が1人から4人のところが40%以上の業種で
あり、その割合の高いところは、染色業の82%、不動産業の71%であり、低いところは卸
売業の31%であります。また、全業種の50%以上が、事業所を新宿だけに置いており、高
いところは染色の82%、不動産の81%であります。このように規模は小さくても事業の本
拠は新宿に置いており、まさに新宿の事業所であると言えます。
それでは、このような業種の皆さんが新宿を事業所の立地環境としてどう見ているかと
いうことですが、この項目は、「良好」「やや良好」「普通」「やや劣る」「劣る」の5
項目に別れていますが、「良好、やや良好」と答えているのは、卸売の65%、情報の61%
が高く、製造の21%が一番低く、50%前後が多くなっています。「やや劣る、劣る」は総
体的には低く、製造の28%と小売の25%が高く、他はほとんど10%未満であります。この
ように立地環境として、新宿は良好と評価されています。
ただ、懸念されることは、事業の承継のことであります。後継者がいないと回答してい
る割合の高い業種は、染色の47%、飲食の39%、小売の30%であり、低い業種は不動産の
11%、運輸の12%であります。後継者が決まっていると答えた高い割合のところは、卸売
の31%、印刷と不動産の30%であり、業種によってバラつきがあるようであります。この
後継者問題は、今後廃業へと向かう恐れがあり大変憂慮されるところであります。特に小
売業の廃業は商店街の衰退に繋がり、地元住民の生活の場である街の崩壊にもなりかねない
大きな問題であります。
また、小売業種について商店会に関してのアンケート結果もありますが、それによりま
すと、商店会に「加入している」は52%、「加入していない」が45%と半数近くが加入し
ていません。商店街は同じ街の商店同志の協力がその商店街の活性化を左右することであ
ります。したがって、区の施策も例えば制度融資についても、加入商店の増加に寄与する
何らかの方法を考えてもいいのではないかと思います。
では、このような業種の皆さんが、新宿区の商工施策に対してはどうなのかということ
ですが、これは、「関心なく施策を知らない」「関心があり利用した」「関心あるが利用
したことはない」「利用しょうとしたが実現しなかった」の4項目で聞いていますが、そ
の回答は、「関心があり利用したことがある」と答えた業種は、殆どが10%内外でありま
すが、染色だけは59%と飛び抜けて高くなっています。これは、地場産業として区が力を
入れてきたその現れであり、評価できることであります。また、「関心があるが、利用し
たことがない」と答えた業種は染色の6%を除き、すべて30%台の割合であります。他方
「関心がなく知らない」と答えた業種は、高い割合は情報コンテンツの51%であり、50%
近い40%台の業種が5業種あります。低い業種は、染色の18%で、30%台が4業種であり
ます。
また、「個別アンケートのまとめ」がなされていますが、それによると、これまの資金
融資や相談業務等の施策に加え、新宿という地の利を活かした施策、商工業にとっての環
境変化に対応した施策などの幅広い対応、そして個々の業種にも眼を向けた木目の細かい
対応も求められているように思われます。
そこでお聞きいたしますが、この産業実態調査の結果を区長はどのように受け止めてお
られるのでしょうか。また、今後の商工業対策をどのようにお考えかお伺いいたします。
次に、成人健康診査とがん検診についてお聞きいたします。
質問の前に一言付け加えさせていただきます。最近、続けてNHKで新宿保健所の取組
を評価することがニュースで放送されました。その一つは、結核予防対策について他の自
治体に先んじて取り組んでおり、薬の服用も保健所で行うなど行き届いた対応がなされて
いるというものであり、もう一つは、このところ「毛じらみ」が発生しているが、その取
組も他に先がけて取り組んでおり、そのための冊子も用意し、また、その除去のための櫛
も用意し、貸し出しを行っているというものでした。このように全国ニュースで取り上げ
られたことは、新宿区民として嬉しくもあり、また誇りに思えることであります。これか
らもこのように高く評価される対応を続けていただきますようお願いしたいと思います。
それでは本題に入らせていただきますが、わが国は世界の中で平均寿命の最も高い国で
あります。これは、健康保険制度が完備しており、誰でも、何時でも医療を受けられるこ
と、また予防対策も進んでいることによるものだと思います。
幸せな人生を送るためには、まず第一に健康であることだと思います。その健康を維持
することは、食生活や心の安らぎなど良好な生活習慣を守ることだと思いますが、人は年
を重ねることにより、身体の機能も低下してまいります。そこで自分の身体の調子を日頃
から注意し、自覚することも必要なことだと思います。そのためには健康診査を受けるこ
とだと思います。その健康診査も多種多様なものがありますが、ここでは「成人健康診査」
と「がん検診」についてお聞きいたします。
この成人健康診査とがん検診について、昨年の18年度までの5年間の実績を見てみます
と、成人健康診査は毎年約2万 7,000人であり、がん検診は14、15、16年は約4万 2,000
から 6,000人であったのが、17年に約5万 2,000人、昨年は約5万 5,000人と、ここ2年
は増えてきております。これは、この検診の対象者にもよりますが、がん検診に比べ、成
人健康診査は関心が低いように思われます。
このような検診は、健康状態を自覚することに役立ち、また病の早期発見で早期治療が
可能となり、健康の保持にとって何よりも有効な方法だと思います。それだけに、できる
だけ多くの対象者に受診を勧めるべきだと思います。
そこで、お聞きしたいのは、この成人健康診査とがん検診について、対象者のどれ位の
方たちが受診されているのでしょうか。その効用と受診率についてはどのような評価をさ
れているのでしょうか。また今後の取り組みについてはどのように考えておられるのか、
それも併せてお伺いいたします。
最後に、教育委員会に中央教育審議会の中間報告「審議のまとめ」に関してお伺いいた
します。
中央教育審議会は先月「審議のまとめ」という中間報告を公表しました。その骨子は、
第1に小中学校で、国語、算数・数学、理科などの主要教科の授業時間を1割以上増やす
第2に総合学習の時間を削減する。第3に小学5年からの英語学習を新設する。第4に道
徳の教科化は見送る。というものでありますが、その基本は、総合的な学習の時間を減ら
して、国語等の主要教科の授業時間を増やすというものであります。
授業時間の増加は、国語、社会、算数・数学、体育であり、学年によって若干異なって
いますが、総授業時間数は週に小学校1、2年で90分、3年から6年で45分、中学校で50
分の増加であります。
現在の指導要領が実施されたのは、6年前の平成14年だったと思いますが、その時には
それまでの詰め込み教育の反省から「生きる力」の育成を教育目標に掲げて、授業内容を
3割削り、また事業時間数も1割近く削減したのが現在の指導要領だと思います。そして
その授業時間の削減は基礎学力の低下を来したとの批判を招き、また、新しい「総合的な
学習の時間」は、その意義が十分活かされなかったようであります。
中央教育審議会が現行教育指導要領の実施から6年という短い期間で見直しの報告をま
とめたのには、一つには、「生きる力」について教師や保護者に十分伝えられなかったこ
と。二つ目は、「自ら学び自ら考える力の育成」について、子どもの自主性を尊重しすぎ
て、指導が徹底しなかったこと。三つ目には、総合的な学習の意義を十分伝えきれなかっ
たこと。四つ目には、授業時間を減らしすぎたために基礎的な知識の習得が不十分になり、
思考力や表現力も育成できなかったこと。五つ目には、家庭や地域の教育力の低下を踏ま
えていなかったこと。の五つの反省点を挙げているようであります。
基礎学力については、小学校6年生と中学校3年生合わせて約 222万人が今年4月に受
けた全国学力調査の結果が、これも先月公表されましたが、その全国平均の結果は知識を
問う問題では、小学校6年が国語Aで平均正答率が81.7、算数Aが82.1、中学校3年では
国語Aが82.2、数学Aで72.8でありましたが、これに対して活用を問う問題では、小学校
では国語Bが63.0と国語Aより18.7低く、算数Bは63.6と算数Aより18.5低くなっており、
中学校では国語Bが72.0と国語Aより10.2低く、数学Bは61.2と数学Aより11.6低くなっ
ており、知識を問う問題に対し活用を問う問題がいずれも大きく下回っております。
この結果は、基礎的学力は高い水準にあるものの、その応用面で劣っていることを示し
ているのだと思います。また、都道府県間の格差はそんなに大きくなく、同じ問題の1960
年代との比較では正答率は上がっているとのことであります。これからすると、基礎学力
は低下していなくて、その知識を生きる力として活用しきれていないということであり、
今後は知識を生きる力に活用できるようにすることが課題ではないかと思われます。
また、反省点の五つ目に家庭や地域の教育力の低下を挙げていますが、このことは学校
での教育の重要性が益々高くなっていることを意味し、学校現場に負担を強いることにも
なることだと思います。したがって、学校現場の努力とともに家庭や地域に対する教育力
向上の働きかけも、今後強めていかなくてはならないのではないかと思います。学校教育
は、個々の将来の幸せな生活の土台を築くことであり、同時に将来の日本を担う人材を育
成することでもあります。したがって、学校教育は大きな使命を担っていることであり、
何にも増して重要な施策であることをしっかり受け止めて取り組んでいく必要があると思
います。
そこで、教育委員会にお聞きしますのは、この中央教育審議会の中間報告「審議のまと
め」について、教育の現場を預かっている教育委員会としてはどのようにお考えか、その
見解をお伺いいたします。
以上で私の代表質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。